相続税は、法人税や所得税と比較してもダントツで税務調査に入られやすい税金です。
コロナによって、一旦は調査件数は減少傾向があります。
ただし、コロナ禍の3年間はターゲットを絞って税務調査を行い、高額な申告漏れ等から追徴課税を得ていました。
こんな案件は税務調査に入りやすい!
- 遺産総額5億円以上
- 自分で申告
- 無申告(申告が必要な場合)
- 生前のお金の動きが激しい
- 生前の収入に対して、申告財産少ない
- 海外不動産、海外に預金が多い
- 家族名義が多い
- 亡くなる前に不動産購入
【相続税は高確率で調査に入る】という真実
令和3年度 | 実地調査 | 簡易な接触 | 合計 |
---|---|---|---|
申告件数 | - | - | 134,275件 |
調査件数 | 6,317件 | 14,730件 | 21,047件 |
申告漏れ等の非違件数(非違割合) | 5,532件(87.6%) | 3,638件(24.7%) | 9,170件 |
申告漏れ課税価格 | 2,230億円 | 630億円 | 2,860億円 |
重加算税賦課件数 | 858件 | - | 858件 |
税務調査(実地調査+簡易な接触)件数/申告件数 | - | - | 15.7% |
相続税は申告された件数に対して税務調査が入りやすい傾向があります。
令和3年といえば、まだまだコロナ禍で人と会うのを避けていた時期ではありますが、それでもこの件数。
コロナ前と比較すると調査件数は減っていますが、追加で課税された分の金額は増えています。
相続税申告に対して税務調査が入りやすい理由は、「申告漏れが多い」「計算方法が煩雑」などの理由で追徴課税が取りやすいから、と言えます。
【相続税の追徴課税は高額になりやすい】という真実
令和3年度 | 実地調査 | 簡易な接触 |
---|---|---|
申告漏れの総額 | 2,230億円 | 630億円 |
追徴課税 本税 | 486億円 | 65億円 |
加算税 | 74億円 | 4億円 |
合計 | 560億円 | 69億円 |
[申告漏れの総額]のうち、重加算税賦課対象 | 340億円 | - |
1件あたりの申告漏れ額(円) | 3,530万円 | 428万円 |
1件あたりの追徴課税 (円) | 886万円 | 47万円 |
計算方法が煩雑で難しく、ただでさえ正しい申告の難易度が高い相続税申告。
うっかりでも、申告漏れの財産についての金額が大きくなる傾向にあり、最終的な追徴課税も高額になることが多いです。
そして、相続税申告の申告漏れは「うっかり見逃していた」「うっかり計算に入れていなかった」というケースが多く、間違いに気付けない場合がほとんどです。
そういったケースから、加算税が重加算税になってしまって高額になってしまったという事例も多く聞いています。
【実は相続は年に1度もやっていない税理士がいる】という真実
令和3年度 | 相続税 | |||
---|---|---|---|---|
申告件数 (件) | 134,275件 | |||
税理士の人数 | 80,163人 | |||
平均申告件数 | 1.67件 |
平成27年度の税制改正により、相続税申告の基礎控除額が引き下げられ、相続税申告の対象者は大幅に増えました。
それまでは平均申告件数は1.0件と今よりもさらに低かったです。
さらに、最近では、相続専門税理士が増えたことで、今まで以上に年に1度も相続税申告を行っていない税理士も存在していることになります。
【相続税申告の実地調査は年々厳しくなっている】という真実(ビフォアコロナ→コロナ禍)
実地調査 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 令和3年 |
---|---|---|---|---|
実地調査件数 (件) | 11,935 | 12,116 | 12,567 | 6,317 |
申告漏れ件数 (件) | 9,761 | 9,930 | 10,521 | 5,532 |
重加算税賦課件数 (件) | 1,250 | 1,300 | 1,504 | 858 |
重加算税賦課対象 (円) | 458億 | 540億 | 576億 | 340億 |
追徴課税 (円) | 583億 | 716億 | 783億 | 560億 |
1件あたり申告漏れ額(円) | 2,517万 | 2,720万 | 2,801万 | 3,530万 |
1件あたり追徴課税(円) | 489万 | 591万 | 623万 | 886万 |
【ビフォアコロナの傾向】
平成27年から平成29年の2年間で
税務調査件数 105%増。
追徴課税の平均額 127%増。
国税庁は富裕層から徴税できる相続税に対する税務調査を強化する流れがあり、約50名の増員をしています。
【コロナ禍中の傾向】
コロナ禍では、上記で示した通り、実地調査は約半分まで減少しているものの、1件あたりの申告漏れ額が跳ね上がっていることから、
緊急性が高い案件や重加算税、追徴課税が多く取れる申告を中心に実地調査を行っていたと推測できます。
【簡易な接触の件数も増えている】という真実
簡易の接触とは・・・
平成27年の税制改正による基礎控除引き下げにより、相続税申告件数が増加したため、効率的に申告漏れを指摘し、納税を促すために行っているのが「簡易の接触」です。
● 相続税の無申告が想定される納税者に書面照会で、自主的な期限後申告を促す
● 調査するほどでもない計算ミスや控除の誤りは電話や来署依頼による調査を行う
簡易な接触 | 平成28年 | 平成29年 | 令和3年 |
---|---|---|---|
簡易な接触件数 (件) | 8,995 | 11,198 | 14,730 |
申告漏れ課税価格 (円) | 444億 | 517億 | 630億 |
追徴課税 (円) | 40億 | 40億 | 69億 |
1件あたり申告漏れ額(円) | 494万 | 462万 | 428万 |
1件あたり追徴課税(円) | 45万 | 36万 | 47万 |
ビフォアコロナもコロナ禍でも、簡易な接触については増えていて、申告漏れ課税価格も順調に増えています。
【無申告に対しても年々厳しくなる】という真実
実地調査 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 令和3年 |
---|---|---|---|---|
実地調査件数 (件) | 863 | 971 | 1,216 | 576 |
申告漏れ件数 (件) | 655 | 751 | 1,025 | 502 |
申告漏れ金額 (円) | 824億 | 866億 | 987億 | 572億 |
追徴課税 (円) | 53億 | 69億 | 88億 | 74億 |
1件あたり申告漏れ額(円) | 9,543万 | 8,914万 | 8,117万 | 9,934万 |
1件あたり追徴課税(円) | 619万 | 708万 | 722万 | 1,293万 |
無申告に対しての税務調査は平成27年から平成29年の2年間で140%増。
コロナ禍では件数は減ったものの、1件あたりの追徴課税も高くなりました。
【税務調査は 5人に1人】という真実
平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 令和3年 | |
---|---|---|---|---|
亡くなった人数 (人) | 129万 | 131万 | 134万 | 144万 |
相続税申告対象人数 (人) | 10.3万 | 10.6万 | 11.2万 | 13.4万 |
実地調査 (件) | 11,935 | 12,116 | 12,567 | 6,317 |
簡易な接触(件) | - | 8,995 | 11,198 | 14,730 |
無申告の実地調査(件) | 863 | 971 | 1,216 | 576 |
税務署からの接触件数※(件) | ー | 21,111 | 23,765 | 21,047 |
接触される確率 | ー | 19.9% | 21.2% | 15.7% |
※実地調査+簡易な接触
相続税申告後に簡易な接触、または 実地調査による税務署からの税務調査は平成29年度で21.2%。
5人に1人は税務調査されるという真実です。
まとめ&税務調査対策
税務時効は5年
税務時効は、相続税申告期限から5年です。
税務調査は2年目以降に入る事が多いのですが、コロナで税務調査を自粛していたのは明白です。
アフターコロナでは、マイナス分を取り返すべく、税務調査や簡易な接触を増やす可能性はあります。
5億円以上は税務調査の確率が高い
遺産総額5億円以上の案件は4,142件、調査に発展した件数は1,569件です。
37.9%の方が実地調査に入っているケースが多いです。
遺産総額が多い場合は、税務調査が来る、実地調査される前提で準備しておくと良いでしょう。
海外不動産や名義預金など、調査に入りやすいポイントがあれば税理士に!
税務署は、被相続人だけではなく、相続人名義の銀行預金の動きもチェックします。
名義預金が見つかった場合に「バレないでしょ?」と思い、ご自身の判断で申告してしまってバレてしまうというケースも少なくありません。
海外不動産などのご自身では難しい相続税申告はもちろん、名義預金の判断なども税理士に確認しておきましょう。
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