個人事業主が亡くなった場合の相続手続き一覧
こんにちは。税理士法人YFPクレアです。
本日は、あまり話題に上がることのないけれど、一度は向き合っておきたい重要なテーマについてお話ししたいと思います。
「個人事業主が亡くなった場合の相続手続き」――そう、終活や相続という言葉に、私たちは胸を締め付けられるような思いを抱くかもしれません。
しかし、人生は予測不可能で、私たちはいつか誰かを失うという現実に向き合わなければなりません。
大切な方の最期には、それぞれの人生を尊重し、思いやりを持って向き合うことが大切なのです。
このコラムでは、個人事業主が亡くなった際に必要な相続手続きについて、3つのカテゴリーに分けてご紹介します。それぞれの手続きは、一見複雑に思えるかもしれませんが、実は透明でスムーズに進めることができるのです。
最初のカテゴリーは、「亡くなった方全員がしないといけない手続き」。これは、基本的な手続きとして誰もが行うべき事項です。次に、「相続に関する手続き」。遺産分割や相続税申告など、資産の整理を行う上で欠かせない手続きについてお話しします。そして、最後に焦点を当てるのは、「事業に関わる手続き」。個人事業主としての事業を後継者に引き継ぐ場合や事業廃止に伴う手続きについて、具体的なステップを解説します。
このページでは、特に「事業に関わる手続き」に焦点を当て、期限やペナルティなどをお伝えします。事業は個人の努力や夢が詰まった大切なもの。それを尊重し、最後まで支えることが私たち税理士事務所の使命だと考えています。
皆様の大切な事業や遺産を、笑顔と温かさで守り抜くお手伝いをさせていただけることを心より願っています。
さあ、個人事業主の最後のパートナーとして、これから始まる手続きの世界へご案内いたしましょう。
個人事業主が亡くなった場合の相続手続き
個人事業主が亡くなった場合にしないといけない相続手続きは
- 亡くなった方全員がしないといけない手続き(死亡届etc)
- 相続に関する手続き(遺産分割協議、相続税申告etc)
- 事業に関わる手続き(準確定申告etc)
の3パターンがあります。
①と②に関しては【3分でわかる】相続の期限一覧とペナルティでご確認下さい。
このページでは③の事業に関わる手続きのみに集中して、期限やペナルティなどをお伝えします。
廃業届(1ヶ月以内)【税務署】
故人の廃業届と、個人事業主のお仕事を後継者が継ぐ場合は後継者の方の開業届を出しましょう。
廃業届も開業届も正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、同じ用紙で、廃業、開業に◯をつけるだけです。
跡継ぎの方は「所得税の青色申告承認申請書」の提出も忘れずにしましょう!
(故人の青色申告に関する手続きは不要です)
事業廃止届・個人事業主の死亡届出書【税務署】
故人が消費税課税事業者の場合は、「事業廃止届」を提出します。
提出期限はありませんが、廃業届等と一緒に提出すると無駄がなくてスムーズです。
給与支払事務所等の廃止届出(1ヶ月以内)【税務署】
故人が個人事業主として従業員を雇って給与を支払っていた場合は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」を提出します。
提出期限は1ヶ月以内です。跡継ぎの方がいて、引き続き従業員を雇って給与を支払う場合も同じ用紙に記入して提出しましょう
相続放棄・限定承認(3ヶ月以内)【家庭裁判所】
事業をされている場合は、借金がある可能性があります。
相続財産はプラスの財産も、マイナスの財産も含みます。
マイナスの財産(借金)がある場合も相続する必要になるのですが、3ヶ月以内ならば相続放棄をすることもできます。
相続放棄とは・・・相続人(亡くなった方の親族)が被相続人(故人)の財産や債権の相続する権利を放棄することです。被相続人が借金を残してお亡くなりになった場合、相続放棄をするケースが多いです。
相続放棄するには相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内です。なお、1日でも期限を過ぎてしまうと、相続人としての責任が生じます。
限定承認とは・・・被相続人(故人)のプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産(借金など)を相続することです。相続を始めたばかりでは財産や借金がどれほどあるか分からない場合の選択肢です。便利な制度にも見えますが、実際の手続きはかなり複雑で、手続きが数ヶ月以上かかることが通常です。
限定承認は、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内です。なお、1日でも期限を過ぎてしまうと、相続人としての責任が生じます。
給与、未払金、未納品などの対応
最期までお仕事をされていた場合、このようなお支払いや取引が残っている可能性があります。
故人が残した手がかりや電話、メールなどをもとに対応しないといけません。
準確定申告(4ヶ月以内)【税務署】
準確定申告とは・・・被相続人(故人)が生前に得ていた収入について、相続人が代わりに確定申告を行うことです。年金収入が400万円以下、その他の所得が20万円以下の場合は必要ありません。被相続人がサラリーマンなどの給与所得のみの場合は、会社が年末調整をしてくれるので、準確定申告は不要です。
遅れてしまった場合は延滞税がかかります。2ヶ月までは年2.7%、それ以降は年9%の延滞税です。
生命保険等の手続き
個人事業主の場合、経営セーフティ共済、小規模企業共済など、国が行っている保険に加入している可能性もあります。
その他、終身保険や死亡保険を掛けている可能性もあります。3年が時効になりますので、故人の荷物を整理しているときに保険証書が出てきたり「もしや?」と思うような資料が出てきたら問い合わせをしましょう。
遺族年金、寡婦年金、死亡一時金
未成年の子供がいる場合は遺族年金を子供が成人するまで。
寡婦年金は夫を亡くした妻が60歳から65歳になるまでの5年間に支給される年金です。
死亡一時金は、亡くなった禍が国民年金第一号被保険者の保険料納付期間が3年以上で老齢年金・障害基礎年金を受給してない場合に受け取れます。
【個人事業主が亡くなったら…まとめ】
正直、配偶者が亡くなることなんて想像したくない…できない方も多いでしょう。
とは言え、残される方は生活もかかっています。
元気なうちに、笑って話せるうちに「この資料はココにあるからね!」とか「生命保険は◯◯保険に入ってるよ!」など情報を伝えて置くと良いでしょう。
すでに相続が発生している場合は、やることがたくさんあって大変かと思います。
税理士をつけている場合は税務署の手続きの代行をしてもらえる他、保険についても知っているケースがあるので、相談しましょう。
税理士をつけていない場合は、故人が残した会計書類や税務関連のファイルを見てみるとわかることもあります。
相続は人生にそう多くは起こらない大変なことですが、家族のチカラをあわせ、ときにはプロのチカラを借りて頑張って乗り切って下さい。
税理士法人YFPクレアも相続税申告や準確定申告、相続手続きでチカラになります!
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