はじめよう、相続の生前対策
「生前対策」とは
相続は突然発生するものです。
その時になって残された人を困らせてしまわないよう、事前準備や心構えをしておくことが推奨されます。
その事前準備を生前対策と呼びます。
具体的には、一定の財産を相続人に贈与することで相続税が少なくなるようにしたり、遺言書を残しておくことで相続が発生した時の争いごとを回避できるようにしたり、相続後にかかる費用の一部を生前に支払っておくことで預貯金と相続税を減らしたりといったことができます。
また、生きているうちにできる手続きを済ませておけば、残された相続人に面倒を残さず、財産を残すことができます。
生前対策って必要?
「生前対策をしたほうがいいっていうのは聞くけど、絶対に必要なの?」
そういったこともよく聞かれます。
結論から申し上げれば、絶対全員に必要とまでは言えませんが、しておいたほうが良い人がほとんどです。
特に東京23区内などの土地代が高い地域にお住いの方は、生前対策をやってみて損はありません。
たとえば、資産があまり大きくなく、相続税がそもそもあまりかからなさそうという方などは、対策をするための費用が節税効果よりも高くなってしまい、結局マイナスになってしまうということもあります。
せっかく多くの資産を残すための対策をしたと思ったのに、出費が上回ってしまっては本末転倒です。
こういった場合には、生前対策をすることをあまりおすすめしません。
一方で、必要な方・したほうが良い方は多くいます。
所有する不動産や資産が多くて相続税の額が大きくなりそうな方、相続人(相続する人)の人数が多くて分割が大変そうな方、預貯金が少なくていざ納税となった時に現金の用意が足りない可能性が見込まれる方など……
こういった皆さんは、スムーズな相続が難しいケースが多く、相続人に負担を強いてしまう可能性が高いため、生前からの対策をおすすめしています。
誰がするの?
相続の生前対策は被相続人(相続される人)がやる必要があります。
ご自身が亡くなった後のことを考える必要があるので、億劫だったり気がのらなかったりすることもあると思います。
しかし、生前対策をするには資産の全容を把握する必要があるので、本人の確認や手続きが必須なことが多いのです。
いくら相続人側が生前対策をしたくても、資産の全容が分からないのでは対策の進めようがありません。
残していく人達に出来るだけ多くの財産を残してあげるためにも、ぜひ重い腰を上げましょう。
いつからすればいいの?
1~3年前くらいから始めるのがひとつの目安です。
しかし、対策の方法は後述していますが、手段によっては十数年単位で時間が必要な場合があります。
やはり生前対策を始めるなら、早ければ早いほどいいと言えます。
気がついたら、なんとなく気になったら、子供にせっつかれたら……そんなきっかけで大丈夫です。
ご自身の年齢も鑑みつつではありますが、相続はいつ発生するか分からないものですから、「やろうかな?」と思ったら早めに行動することがおすすめです。
生前対策のやりかた
①資産を全て確認して一覧を作成する
まずは自分の資産のすべてを確認し、書き出しましょう。
相続の際最も困るのが、「本人でないから資産のすべてを把握するのが難しい」という点です。
それを解消するために、どこにどんな不動産を持っているのか、どの金融機関に口座を持っているのか、どんな保険に入っているのか……そういった情報をすべて書き出した、財産目録のようなものを作っておくのが第一歩です。
対策を取るところまでできなくとも、資産の一覧があるだけで相続人たち(及びお手伝いする税理士)はとても助かるのです。
②対策の目的と方法を考える
次に、どんな対策をとるのが有用なのか確認します。
方法を考える前に、何のために対策したいのかを明確にしましょう。目的によって、有効な手段が違うからです。
相続の生前対策の目的は、「節税に向けた対策」「もめないための対策」「納税資金を確保するための対策」の3つが主です。
それぞれ見ていきましょう。
節税に向けた対策
「節税に向けた対策」では、相続税だけでなく贈与税などの関わる全ての税金を加味して、なるべく税額が抑えられるように考えます。
税金はきちんと納めるべきですが、払わなくて済むならその方がよいというのもまた理解できるところです。
払い過ぎないため、せっかくの資産をヘタに減らさないためにも、しっかりと対策をしたい部分です。
具体的には、大きく分けて2つ。「贈与を活用すること」と「財産の評価を下げること」です。
やれることはそれぞれ細かく分かれていきますが、主にこの2つのどちらかを目的としています。
もめないための対策
「もめないための対策」では、相続人たちが相続の際にもめてしまわないようにすることを考えます。
相続は、大なり小なりもめることが多いです。お金に関わる部分ですので、当然と言えるかもしれません。
しかし、被相続人からすれば「もめないで欲しい!」「できるだけ火種を消しておきたい!」と思うのもまた当然のことです。
具体的に出来ることはいくつかあります。
「公的に遺言書を残す」「財産を分けやすいようにしておく」などです。
遺言書は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類あり、どちらを選ぶかは被相続人次第です。
「財産を分けやすいようにしておく」とは、財産を不動産に偏らせないことや土地に建物を建てないで残しておくことなど、方法はいくつもあります。あなたの希望や相続人たちの人数等によって、手段は変わります。
納税資金を確保するための対策
「納税資金を確保するための対策」では、最終的に相続税を納付するための財源、つまりある程度の現金を確保するための対策です。
せっかく一生懸命節税対策をしてもめないように手を打っておいても、最終的に相続税の納付ができなければ意味がありません。
現金をたくさん残せるのであれば何の心配もいりませんが、そうでないなら何らかの対策が必要です。
具体的に出来ることはいくつかあります。
例えば「死亡保険に加入して現金を受け取れるようにしておく」「死亡退職金を活用する」などです。
変わり種では、「現金の用意が難しいので、物納ができるようにそれ用の土地を用意しておく」という方法もあります。
こちらも、あなたの希望や相続人たちの状況等で有効な手段は変わってきます。
対策の方法を考える際、ご自身で調べて考えるということが難しい場合は、プロを頼りましょう。
YFPクレアもそうですが、初回相談を無料で引き受けてくれる税理士事務所は多いので、せっかく上げた腰を下ろしてしまう前に、ぜひ一度相談をしてみてください。
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