みなさんこんにちは、監査担当 岡﨑です。
今回の業種別特化型コラムでは、社会福祉法人の「基本金」とその考え方についてお話します。

社会福祉法人では貸借対照表の純資産の部に基本金を計上しますが、こちらは社会福祉法人が事業を開始する際に個人や法人から受けた寄附金の額を計上するものとされています。(第6条) 
社会福祉法人の成り立ちのイメージとしては、その土地の「名士」と呼ばれていた方が自らの出資をもって設立するというケースが多かったようです。

基本金とその考え方

基本金とは

基本金とは、社会福祉事業の対価としてではなく、施設の経営基盤を整備するために、無償で受け入れた寄付金をいいます。

会計基準省令第6条1項に規定する基本金は以下のようになっています。

【第1号基本金】社会福祉法人の設立並びに施設の創設及び増築等のために基本財産等を取得すべきものとして指定された寄附金の額
【第2号基本金】前号の資産の取得等に係る借入金の元金償還に充てるものとして指定された寄附金の額
【第3号基本金】施設の創設及び増築時に運転資金に充てるために収受した寄附金の額

上記からもわかるように、基本金は「寄附」から成り立っています。

第1号基本金について

運用上の留意事項として、第1号基本金、すなわち「社会福祉法人の設立等のために基本財産等を取得すべきものとして指定された寄附金の額」とは、土地、施設の創設、増築、増改築における増築分、拡張における面積増加分及び施設の創設及び増築時等における初度施設整備、非常通報装置設備、屋内消火栓設備等の基本財産等の取得に係る寄附金の額とされています。
法人の施設面積が増え、そこに建物等を建設した場合はその増設分が基本財産の取得となるわけです。 
ただ、建物内の設備更新くらいであれば基本財産とはならず、基本財産以外の固定資産計上の対象となります。

第2号基本金について

次に第2号基本金、すなわち「第1号基本金対象となる基本財産の取得に係る借入金の元金償還に充てる寄附金の額」はわかりやすいと思いますが、施設取得のために借入を起こした場合、その借入の返済を目的として受け取った寄付金となります。

第3号基本金について

最後に第3号基本金、すなわち「施設創設時等に運転資金を充てるために受け取った寄付金の額」とは、社会福祉法人審査要領の2(3)に規定する、当該法人の年間事業費の12分の1以上に相当する寄附金の額及び増築等の際に運転資金に充てるために収受した寄附金の額をいいます。
寄附金の受入れについては「施設設備等寄附金収益」とされますが、仮に12分の1に満たない場合は「経常経費寄附金収益」とされ基本金に組み入れることはできません。
この第3号基本金の説明では簡単に書いていますが、基本金を計上するときは、基本金に該当する寄附金を事業活動計算書の特別収益に計上した後、その収益に相当する額を基本金組入額として特別費用に計上します。

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2部3課 社会福祉法人チーム
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