持ち分あり医療法人の経営をされる理事長様へ
「出資者の方が亡くなり、その相続人から持ち分の払い戻しを請求されたらどうしよう・・・」
このようなご心配はございませんか?
高齢化がすすみ、医療の現場では、出資者の高齢化も課題になっています。
出資者が亡くなり、相続人が相続税を支払うために持ち分の払戻の請求がなされ、医業継続が困難になる…ということが実際に起こってしまえば患者さんはもちろん、地域にとっても非常に困ったことになります。
そのようなことがないように、今、持ち分あり医療法人が今後も安心して経営を続けられるように持ち分なしへの移行に伴う税制や融資の優遇制度があります。
持ち分あり医療法人を経営されていらっしゃる先生方、この機会に持ち分なし医療法人への移行を検討してみませんか?
持分なし医療法人のメリット
持ち分について(用語の確認)
「持ち分」という表現ですが、「出資金」「出資持分」「持分」「出資」など様々な呼び方があります。
持分とは、「定款の定めるところにより、出資額に応じて払い戻し、または、残余財産の分配を受ける権利」と定められています。
持ち分あり医療法人とは、定款に持分に関する規定を設けている医療法人をさします。
規定の具体例としては「社員資格を喪失した場合の持ち分の払戻に関する規定や、解散時の残余財産の持ち分に応じた分配に関する規定などがあります。
持ち分なし医療法人とは、定款に持分に関する規定がない、持分が一切存在しない医療法人を指します。
持ち分なし医療法人への移行のメリット
持分あり医療法人の場合、社員が退社した際に持分の払戻を請求されたり、社員が亡くなった場合に相続人から持ち分の払い戻しを請求される可能性があります。
医療法人によっては、評価額が巨額になる可能性もあります。そうなれば、払い戻し請求をされれば、医療法人が医業を継続することが困難になる可能性もあります。
そうなってくると、先生だけの問題ではありません。患者さんはもちろん、地域の方々の生活水準の低下や不安をあおってしまうことにつながるでしょう。
そうならないためにも、持ち分なし医療法人への移行をオススメします。
今、移行計画をするメリット
移行についてですが、今ならメリットもあります!(平成26年10月1日~平成29年9月30日まで)
①税制措置
税制措置には2パターンあります。
持ち分あり医療法人の状態で、出資者が亡くなった場合
相続人が持ち分あり医療法人の持ち分を相続や遺贈により取得した場合、
その医療法人が相続税の申告期限までに移行計画の認定を受けられたら、
その持分に対応する相続税額については移行計画の期間満了までその納税が猶予され、
持分のすべてを放棄した場合は猶予税額が免除されます。
ただし、準備には時間をかけたほうがいいです。
移行を急ぎ、合意が得られなかったり、十分な検討をせずに策定したため取り下げざるを得なくなってしまうことがないように準備しましょう。
移行計画の認定を受けて出資者が持ち分の放棄したことにより他の出資者の持ち分が増加し贈与をうけたものとして他の出資者に贈与税が課される場合
持ち分あり医療法人から持ち分なし医療法人に移行計画の認定を無事に受け、出資者Aさんは持ち分を放棄し、出資者Bさん、出資者Cさんは放棄しなかったとします。
それぞれ3分の1ずつ持ち分があった場合、出資者Aさんが持ち分を放棄したことによって、出資者Bさん、Cさんの持ち分はもともとは3分の1だったのが2分の1に増加します。
これは本来ならば、贈与を受けた…とみなされ、贈与税の申告の対象になりますが、今回の税制では移行計画満了まで納税猶予となります。さらに、BさんCさんも持ち分を全て放棄した場合は、猶予税額が免除されます。
全ての出資者が持ち分を放棄し場合
全ての出資者が持ち分を放棄した場合、医療法人に対して贈与税がかかる場合はありますが、今回の改正でかからなくできるようになりました!
かからないようにやりましょう。
②融資の優遇
認定医療法人において、出資者や相続人から払い戻し請求が生じ、医療法人の自己資金だけでは対応できない場合、独立行政法人福祉医療機構から融資を受けることができます。
限度額 2億5000万円
償還期間 8年(うち据置期間1年以内)
③医療法人相続時の相続税対策
持分なしにしておくことで、先生が亡くなったときに相続税がかからずに奥様やお子様に相続することができます。
持ち分なし医療法人への移行ステップ(事前準備編)
持ち分なし医療法人への移行を検討をされる場合、十分に時間をかけて事前準備を行うことがスムーズな移行へのカギとなります。
1、医療法人内部で検討体制を整備
持ち分なし医療法人になるには、準備に時間をかけることが重要です。
医療法人内部で移行検討委員会を立ち上げ、担当理事を選任しましょう。
2、持ち分なし医療法人への移行について検討
- 移行を予定する持ち分なし医療法人の法人類型(社会医療法人、特定医療法人、基金拠出型医療法人、その他持分なし医療法人)の検討
- 税理士を交えたシミュレーションの実施
持分なし医療法人へ移行するメリットとデメリットを洗い出し・検討したり、医療法人の法人資産の評価などを行います。移行スケジュールの策定も考えましょう。
移行計画の認定は1回限りです。認定後に取り消しとならないように十分に検討を行いましょう。
3、医療法人関係者へ事前説明
医療法人内部でしっかりと検討を行ったあとで、出資者へ持ち分なし医療法人への移行に関する事前説明と持ち分放棄の意向を確認します。
ここまでが事前準備です。
持ち分なし医療法人への移行ステップ(認定手続き編)
持分なし医療法人への移行を希望される医療法人で税制措置や融資制度を利用される場合は、
1、移行計画の申請
2、定款の変更
の手続きが必要になります。
1、移行計画の申請
- 社員総会で議決
移行計画の申請について、社員総会で議決を得ます。
同時に、定款変更についても議決を得ます。 - 厚生労働大臣あてに移行計画の申請
都道府県は経由せず、直接厚生労働省に提出します。
申請の必要書類は下記の通りです。
・移行計画認定申請書
・移行計画
・出資者名簿
・定款(案)
・社員総会の議事録
・直近3年貸借対照表と損益計算書
2、定款変更
厚生労働省から移行計画の認定通知書を受理したら、都道府県知事あてに定款変更の申請を行います。
必要書類は下記のとおりです。
・定款(案)と新旧対照表
・社員総会の議事録
・移行計画の認定通知書の写し
税理士法人YFPクレアのワンストップサポート
税理士法人YFPクレアでは、司法書士などの士業と連携を行い、持分なし医療法人へスムーズに移行できるようにサポートをいたします。医療・クリニックに詳しい税理士が担当しますので税務も安心してお任せください。
法人類型の検討や、シミュレーションなどを納得いくまでご相談いたします。
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