「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
労働者の意欲・能力を向上させ、事業の生産性を高め、優秀な人材を確保するためにも活用できる制度になっています。
キャリアアップ助成金について
キャリアアップ助成金は7コース
キャリアアップ助成金は、前述の通り非正規雇用労働者のキャリアアップのための助成金です。
行う取り組みによって支給額や要項が変わり、全部で7つのコースに分かれます。
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
各コースの要項については後述とします。
まずは全体に共通した要項についてまとめました!
対象事業主
キャリアアップ助成金は、まず下記の条件を満たす事業主であることが必要です。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
※ キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。 - 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
- 対象労働者に対して、労働条件や賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備することができる事業主であること
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
ここでいう「事業主」には、民間の事業主の他、公益法人やNPO法人、医療法人、社会福祉法人等も含まれます。
また、各コースの要項に記載がある時の「中小企業」は、以下のように定義されています。
資本金の額・出資の総額 | または | 常時雇用する従業員の数 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
資本金の額等を基準に、それがない場合は従業員数を基準に決められています。
これに当てはまる場合は、キャリアアップ助成金では中小企業の扱いとなりますのでご注意ください。
助成金の受給までの流れ
キャリアアップ助成金を受給し活用するためには、各コースを実施する前日までに「キャリアアップ計画」等を作成し、提出しておく必要があります。
認定までには時間を要する可能性もあるため、1ヶ月前には提出しておく方がよいでしょう。
各コースに基づいた「キャリアアップ計画」の作成・提出
↓
「キャリアアップ計画」の実施
↓
キャリアアップ助成金の受給申請
という流れとなります。
「キャリアアップ計画」の作成については、労働組合等に意見を聴くとよいとされています。
各コースごとの概要について
ここからは7つのコースについて紹介します。
正社員化コース
共通対象者の要項を満たした事業主が、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用した場合に助成されるものです。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
① 有期 → 正規:1人当たり 57万円(42万7,500円)
② 有期 → 無期:1人当たり 28万5,000円(21万3,750円)
③ 無期 → 正規:1人当たり 28万5,000円(21万3,750円)
さらに、雇用した労働者の状況や制度を新たに規定する等によって支給額が上がる加算措置があります。
障害者正社員化コース
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した事業主に対して助成されます。
令和2年度末で障害者雇用安定助成金が廃止されることに伴って、キャリアアップ助成金に移されたものです。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
支給対象者 | 措置内容 | 支給総額 | 支給対象期間 | 各支給対象期における 支給額 |
---|---|---|---|---|
重度身体障害者、 重度知的障害者 および 精神障害者 |
有期雇用から正規雇用 への転換 |
120万円 (90万円) |
1年 | 60万円 × 2期 (45万円 × 2期) |
有期雇用から無期雇用 への転換 |
60万円 (45万円) |
30万円 × 2期 (22.5万円× 2期) |
||
無期雇用から正規雇用 への転換 |
60万円 (45万円) |
30万円 × 2期 (22.5万円× 2期) |
||
重度以外の 身体障害者、 難病患者、 |
有期雇用から正規雇用 への転換 |
90万円 (67.5万円) |
45万円 × 2期 (33.5万円※× 2期) ※第2期の支給額は 34万円 |
|
有期雇用から無期雇用 への転換 |
45万円 (33万円) |
22.5万円 × 2期 (16.5万円 × 2期) |
||
無期雇用から正規雇用 への転換 |
45万円 (33万円) |
22.5万円 × 2期 (16.5万円 × 2期) |
※支給対象期間1年間のうち、最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期の支給対象期といいます。
賃金規定等改定コース
すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成されます。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
・すべての有期雇用労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
対象労働者数
1人~3人 :1事業所当たり 95,000円 ( 71,250円)
4人~6人 :1事業所当たり 19万円 (14万2,500円 )
7人~10人 :1事業所当たり 28万5,000円 ( 19万円 )
11人~100人 :1人当たり 28,500円( 19,000円)
・一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
対象労働者数
1人~3人 :1事業所当たり 47,500円(33,250円)
4人~6人 :1事業所当たり 95,000円 (71,250円)
7人~10人 :1事業所当たり 14万2,500円 (95,000円 )
11人~100人 :1人当たり 14,250円( 9,500円)
さらに、増額のパーセンテージ等によって支給額が上がる加算措置があります。
賃金規定等共通化コース
有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適
用した場合に助成されます。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
1事業所当たり57万円(42万7,500円)
さらに、対象となった労働者数によって支給額が上がる加算措置があります。
諸手当制度共通化コース
有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設けて適用した場合、
または有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上が実施した場合のいずれかに助成されます。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
1事業所当たり38万円(28万5,000円)
さらに、共通化した手当数や対象労働者数によって支給額が上がる加算措置があります。
選択的適用拡大導入時処遇改善コース
社会保険の適用拡大措置の導入に伴い、雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、社会保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組を実施し、当該措置により新たに社会保険の被保険者とした場合に助成されます。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
1事業所当たり 19万円(14万2,500円)
さらに、対象労働者の基本給増額や生産性向上を図る取り組み等によって支給額が上がる加算措置があります。
短時間労働者労働時間延長コース
短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに、処遇の改善を図り、新たに社会保険の被保険者とした場合に助成されます。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
・短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合
1人当たり22万5,000円(16万9,000円)
・労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1~4時間延長するとともに基
本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合
延長した時間数によって、1人当たり 45,000円~ 18万円
キャリアアップ助成金 申請サポート
正社員化コース申請サポート
費用
50,000円 ※現在、税務顧問契約中のお客様のみ承っております
サポートの流れ
1、お問合せ
下記フォームからお問い合わせください。
2、営業担当によるヒヤリング
御社のご状況をヒヤリングし、キャリアアップ助成金の正社員コースが適用できるかどうかなどを確認します。
3、必要書類集め
キャリアアップ助成金には就業規則などの書類をご提出お願いします。
4、計画の申請
弊社で書類を作成しますので、貴社は確認をお願いします。
5、取り組みの実施
必要な取り組みを実施お願いします。
6、支給申請
弊社で書類を作成しますので、貴社は確認をお願いします。