社会福祉法人の指導監査のリアルに聞かれたことをまとめました

みなさんこんにちは、YFPクレア社会福祉法人チームです。

社会福祉法人さんを訪問し、お話を聞いておりますと、やはり市区町村や都道府県の監査が不安に感じていることが多いと感じました。
何か指摘されてしまうのではないかと不安に思っているお客様が多いと実感しております。

私も何度か監査に立ち会いました。
そこでこのページでは、実際に指摘された事項と確認された事項を、お伝えしていきたいと思います。

経理規定は最新のものか?

監査は経理規定に照らし合わせて、経理規定通りに行っているか確認します。
現時点では、平成29年版社会福祉法人モデル経理規定(全国社会福祉法人経営者協議会)が最新となっていますので、最新のモデル経理規定に沿った経理規定を作成してあるか確認が必要です。

統括会計責任者・会計責任者・出納職員

社会福祉法人会計モデル経理規定の第8条では以下のように記載があります

第8条 当法人の経理事務に関する統括責任者として、統括会計責任者を置く。(注6)

 2 第6条第2項の各拠点区分には、それぞれの経理事務の責任者として会計責任者を置く。

   ただし、会計責任者としての業務に支障がない限り、1人の会計責任者が複数の拠 

  点区分の会計責任者を兼務することができる。

 3 第6条第2項の各拠点区分又は各サービス区分には、会計責任者に代わって一切の

  経理事務を行わせるため、出納職員を置く。ただし、出納職員としての業務に支障が

  ない限り、1人の出納職員が複数の拠点区分又はサービス区分の出納職員を兼務する

  ことができる。

 4 統括会計責任者、会計責任者及び出納職員は理事長が任命する。

 5 会計責任者は、会計事務に関する報告等、統括会計責任者の指示に従わなければな

  らない。

 6 会計責任者は、出納職員を監督しなければならない。

(注6) 法人本部以外の拠点区分が1つの法人、又は1人の会計責任者が他のすべての拠点区分の会計責任者を兼務しているような小規模の法人にあっては、統括会計責任者を設けずに、第8条の規定を以下のとおりとする。

統括会計責任者・会計責任者・出納職員を決め必ず理事長が任命するとあります。
イメージ的には統括会計責任者が部長・会計責任者が課長・出納職員が事務員というイメージを持たれたほうが良いかと思います。

監査では必ずと言っていいほど、誰が任命されているか明示するようにと聞かれます。
金銭を扱っている大事な方達となるので、誰が責任を持って金銭を管理しているかを明確にするため必ず聞かれます。

また、口頭で責任者を伝えても、そうですかでは終わりません。誰がなっているか辞令があるか、組織図などで確認出来るかの証拠書類も求められます。そのためこれらの責任者は誰になっているか必ず明確にする必要があります。こちらが監査の第一関門と私は思っております。

小規模保育園ですと一人の責任者が全拠点を見ているところが多々あります。その場合は、経理規定にあるように統括会計責任者を設けずに会計責任者と出納職員で足りるとあります。しかし、その場合でも事例等で誰がなっているか明確にする必要があります。

現金実査・本当にお金があるか

現金出納帳が、実際の現金有高と合っているか見られます。つまり形式的な現金出納帳になっていないかを見られるという内容になります。
こちらは必ずと言っていいほど行われます。

そのため会計責任者が最低でも月末に出納長と現金有高を確認し金種表を作成し、確認した旨の押印が必要となります。
そのように管理をされていれば、監査があった時も乗り切れると思っております。

現金残高が上限金額を超えていないか

経理規定28条第3項には以下の通り定められております
【小口現金の限度額は、○○区分ごとに○万円とする】

現金は定められた金額以上に持ってはいけないという内容です。監査時には現金出納帳を1年間確認し、上限が超えていないか確認してきます。
上限を超えた場合は、なぜ超えたのか理由の説明を求められますので、どうしても超えてしまう時があった際には当該理由(まとまった現金が必要だった等)をお伝えしましょう。
ちゃんと理由を伝えれば、特に指摘されません。

 

収受した金銭の保管

経理規定第24条に、
【日々入金した金銭は、これを直接支出に充てることなく、収入後◯日以内に金融機関に預け入れなければならない。】
とあります。

現金で受け取ったものがあった場合には、経理規定上通りに何日以内に金融機関に預け入れているか確認されます。

預金の確認

現金同様にこちらも残高証明書や預金通帳により年度末残高が決算書と合っているか確認されます。
ここがずれているという話は今までありませんが、監査という作業では必要なところかもしれません。

あまりにも使用していない通帳があったりしますと、「使わない預金はなるべく解約するようお願いします」と口頭での指摘をされることがあります。

印鑑の保管状況は大丈夫か

印鑑をどこに保管しており保管先が鍵付きのものかを確認してきます。
また、印鑑を使うときはどのような手順で印鑑を取り出し使用しているかなどに加えて、理事長以外が使う際はどのようにルール付けしているかの説明を求められます。
しっかりと説明出来るようにルール化しておきましょう。

月次報告は毎月されているか

経理規定32条には
統括会計責任者又は会計責任者が翌何日以内に月次試算表を作成し報告しなければならない
とあります。
この月次試算表がきちんと毎月報告されているかの確認を求められる時があります。 

必ず毎月の試算表をファイリングして毎月保管致しましょう。
その際、いつ報告を受けたか分かるように試算表に日付を記載する事と、理事長印を押印する事が大事です。

会計伝票は作成されているか

経理規定第13条には
全ての会計処理は、会計伝票により処理しなければならない
とあります。

現在はクラウド化やペーパーレスが進んでいます。そのため、以前のように紙で出力して承認印を貰うというのは馴染みません。
一例として、弊社ではTKCソフトを駆使して電子で承認作業を行っており、紙での提出が不要となるようにしています。

予算内となっているか

予算の執行状況の確認が行われます。
確認事項は
「費用が組んだ予算内に収まっているか」
「収まらない場合には、補正予算や予備費等で補填しているか」
といったことです。

積立資産と積立金

積立資産を積み立てた場合は、専用の口座で管理することをお勧めします。
当該積立金は必要な時に取り崩す金額となるので、普段使用している事業用口座等とは別の口座で管理したほうが、分かりやすくて明瞭なのです。
目的外で取り崩す場合には理事会の承認が必要となりますので、こちらも注意が必要です。

減価償却方法は経理規定通りか

社会福祉法人では定額法を原則としながらも経理規定で減価償却方法を定めます。
実際の減価償却が経理規定と則しているか確認してきます。
法人税法では定率法を原則としているため、償却方法が混在するケースがありますので、経理規定通り償却することが必要となります。

固定資産台帳通りに資産が存在しているか

固定資産台帳を確認し、あまりにも古いものがあると「毎年、実査していますか」と言われます。
そのため、年度末には会計責任者に、固定資産台帳に計上してある資産が本当に顕在しているかを確認して貰う必要があります。

賞与引当金を計上する

経理規定第57条に

職員に支給する賞与のうち、当該会計年度の負担に属する額を見積り、賞与引当金として計上する。
ただし、重要性が乏しいと認められる場合には、これを計上しないことができる。

とあります。

社会福祉法人は3月決算なので決算後の6月又は7月頃の夏の賞与をお支払いすると思います。
仮に算定期間が1月から6月の場合、決算前の1月から3月の算定期間分を賞与引当金として計上することとなります。

インターネットでの公表

社会福祉法人はインターネットにより、定款・計算書類・現況報告書・役員等名簿・報酬等の支給の基準・社会福祉充実計画を公表する必要があります。
役員等名簿は個人情報があまり載らないよう誕生日・住所は記載しなくて大丈夫です。

最後に・・・

うーん・・・
やっぱり不安
本当に自社で乗り切れるのだろうか・・・

そんなときは・・・

模擬監査で安心を

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