法人が関わる税務
法人、つまり会社を設立すると、会社員や個人事業主等をしていた時に比べて関わる税務が増え、複雑化してきます。
場合によっては必要な税務が多く、自分の会社にとって必要な業務なのかどうかも分かりづらい部分が多いものです。
全てを説明するには膨大な時間がかかってしまいますし、税務のことだけを書き連ねるととても分かりにくくなってしまうので、「都内にある決算が8月で従業員数が7人の法人」が1年で関わる税務をスケジュールにしてみました。
こちらを見ながらご説明していきます。
8月決算、従業員7名かつ都内の法人の場合の税務スケジュール
8月決算の法人だからこの時期にやること・・・☆
1月
〇税務署へ
・源泉所得税の納付
・法定調書の提出
〇区役所へ
・給与支払明細書の提出
・償却資産申告書の提出
2月
〇区役所へ
・固定資産税の納付(前期分4期目)
3月~5月
・特別必要な税務はありません。日々の記帳を抜かりなく進めましょう。
6月
〇区役所へ
・固定資産税の納付(1期目)
7月
〇税務署へ
・源泉所得税の納付
8月
・特別必要な税務はありません。決算に向けて資料の整理等も進めましょう。
9月
・申告の準備・・・☆
(銀行口座の残高確認書の送付、税務署や市町村・県税事務所から申告書を預かる)
〇区役所へ
・固定資産税の納付(2期目)
10月
〇税務署・都税事務所・市区町村へ
・法人税申告書の提出・・・☆
・法人税の納付・・・☆
11月
・特別必要な税務はありません。
12月
・年末調整の実施と共に源泉徴収票の作成
〇区役所へ
・固定資産税の納付(3期目)(4期目の納付は翌年2月)
このような流れになります。
表の中に解説も書き込むとわかりづらくなってしまうので、省略させて頂きました。それぞれどういった税務なのかを以下で解説していきます。
「源泉所得税の納付」
源泉所得税は従業員全員分の所得税を税務署に納付します。
原則、給与の支払いがあった月の翌月10日に毎月納付するものですが、従業員数が10名未満の事業所に限り、半年毎の納付に変更する特例が利用できます。
届出が必要にはなりますが、数人分を毎月毎月納付する手間からは解放されることと思います。
この特例を利用する場合、半年毎の納付は1月と7月の2回になります。
「法定調書の提出」
税務署へ提出します。
法定調書とは、支払の事実があったことを提出することで、税務署がお金の動きを把握するものです。
年末調整で作成する源泉徴収票も法定調書のひとつです。
法定調書には、「支払調書」や「計算書」などがあります。
法人の場合、主に個人事業主との外注費において確認をし、提出を行うことが多いようです。
「給与支払明細書」
区役所へ提出します。
法定調書の1種ですが、提出先は税務署ではありません。
源泉徴収票に近く、「給与を誰にどのくらい支払ったのか」を知らせるものです。
これにより、住民税等の税額が決まっています。
「償却資産申告書」
区役所へ提出します。
事業用の償却資産がどのくらいあるかを申告するものです。
この申告によって償却資産税が決められます。
償却資産税は固定資産税の1種です。
「固定資産税」
区役所へ納付します。
2月の所には「前期分4期目」と書いてあります。
これは、都内ならば固定資産税の納付が6月、9月、12月、2月の4回に分けられるからです。
先述の償却資産税は申告が必要ですが、固定資産税は不動産の登記などによって国が資産を把握出来る為、申告の必要がありません。
「法人税申告書・法人税」
税務署に提出・納付します。
年間にかかる法人税額が決まります。
法人税申告書の作成には決算申告書・科目明細書・事業概況書・適用額明細書など、決算にまつわる書類が必須です。
ですので、法人税申告書の作成前に決算が終了し、正確な会計帳簿が出来ている必要があります。
「年末調整実施・源泉徴収票作成」
年末調整は、その年に支払った給与と徴収した所得税を計算し、過不足なく納める為の作業です。
徴収しすぎている場合は従業員に返却し、足りなければ不足分を徴収します。
源泉徴収票は、それらの作業がどのような計算で終わったかを従業員と税務署に知らせる為のものです。
年末調整の完了後、速やかに源泉徴収票の作成をすることが望ましいでしょう。
まとめ
今回は「都内にある決算が8月で従業員数が7人の法人」が実際に行う税務についてまとめましたが、人数が増えれば源泉所得税の納付は毎月納付に変わりますし、決算月が変われば決算関連の税務は時期が変わります。
また、市区町村へ提出する書類は自治体によって様式や提出期限が変わりますので、こちらのスケジュールは参考程度にご利用ください。
事業の拡大や資金調達のためなど、様々な理由で法人は設立されますが、税金との付き合いは個人で事業を営むより濃いものになります。
また、過度な節税は脱税となってしまう可能性が高くなります。
きちんと納めながら、しかし払い過ぎてしまわないよう、税金のエキスパートに相談が出来る体制を整えることをお勧めします。
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