みなさまこんにちは。税理士法人YFPクレアの中村です。
今回は源泉徴収関係の続きとして皆様とも関わりの深い支払調書についてご説明させていただきます。

支払調書とは

支払調書とは特定の支払に対する支払額(及び源泉徴収税額がある場合には源泉徴収税額)を支払の相手方毎に1年分を合計し記載した書類で、年間金額の基準等により毎年1月31日までに税務署へ提出しなければならない税務書類をいい、主に以下のものがあります。

  1. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  2. 不動産の使用料等の支払調書
  3. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  4. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

 今回は主に①の内容についてお話させていただこうかと思います。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲(一部のみ)

  • 原稿料、デザイン料などの外注費・・・いわゆる第1号関係
    ※同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50,000円を超えるもの
  • 弁護士、税理士などの士業報酬・・・いわゆる第2号関係
    ※同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50,000円を超えるもの

アシスタント原稿料等を支払っている場合

前回お話したように、アシスタントさんに原稿料としての支払がある場合には、源泉徴収を行ったうえでの支払が必要となります。
そして源泉徴収前の金額の1年間の合計が5万円を超える場合には、1年間の合計金額を記載した支払調書を作成し、税務署へ提出することが必要となります。
この時、税務署提出用に作った支払調書と同じものをアシスタントさんにも交付している先生方が多いかと思います。

弁護士や税理士等に支払っている場合

原稿料と同様に、弁護士・税理士等への支払についても、1年間の合計が5万円を超える場合には、1年間の合計金額を記載した支払調書を作成し、税務署へ提出することが必要となります。
前回の説明では、源泉徴収税額が発生するのは相手方が個人事業主である場合のみと言いました。
たとえば弊社のような税理士法人に対する支払では源泉徴収は必要ありませんでした。
しかし今回の支払調書の提出範囲に関しては源泉徴収の必要のない法人への支払であっても範囲に含まれることになりますため注意が必要です。

印税・原稿料収入を受け取っている場合

漫画家先生の主な収入源となる印税・原稿料収入についてですが、多くの場合出版社等から毎月支払通知書などの名称で入金の明細を受け取り、年間の合計として支払調書が送られてくるというパターンが多いかと存じます。
先にお話ししたように、支払調書というのは税務署へ提出するために作成するものなので、実は支払先に対して交付しなければならないというような義務がございません。
ただ確定申告資料として交付を求められることが多いため善意で送ってもらっているものだと思います。

また、支払調書に記載された金額が必ずしもその当年の売上と一致するとは限らないため、支払調書があるからと毎月の支払通知書等をおざなりにすることなく、一緒に保管していただくようお願いいたします。

支払調書の金額について

支払調書へ記載すべき金額についてなのですが、「その年中に支払の確定した金額」という定めがあるのですが

  • 1月分~12月分までの発生ベースで金額を記載しているパターン
  • 1月~12月までの間に実際に支払った金額を記載しているパターン

というように支払調書の作成者によって対応が違っていることがよくあります。
もちろん確定申告において記載すべき収入の金額は決算月までで発生した金額をベースに考えますので、支払額ベースで記載された支払調書をもとに計算した場合には収入額について差異が生じることとなります。

まとめ

支払調書とは特定の支払の支払額をまとめ税務署へ提出しなければならない書類

  • 原稿料、デザイン料及び弁護士・税理士などの士業報酬等が提出範囲
    ※同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50,000円を超えるもの
    ※弁護士法人、税理士法人などの源泉徴収不要の支払についても提出対象
  • 支払先に対する交付義務はないが、多くの場合で確定申告資料として交付される
    ※記載金額が収入計上のタイミングと違っている場合もあるため注意が必要

おわりに

今回は支払調書のうち特に関わりの深い報酬等の部分についてご説明させていただきました。
他にも法人が支払う家賃や保険会社が支払う保険金・解約返戻金についても支払調書があり、その作成提出範囲は非常に多岐にわたります。
その全てをここでご説明することはできませんが、ご不明点やご相談があれば是非税理士法人YFPクレアへ。

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