みなさんこんにちは、営業部石川です。
今回は例年通り発表された税制改正のポイントをまとめました。
簡潔に解説していますので、気になるものがあればぜひ、それぞれ詳細をご確認ください!
※なお、本情報は「令和7年度税制改正の大綱」の沿って3/3時点での情報を基に作成しています。最新の情報とは異なる場合がありますので、ご注意ください。

個人所得課税・資産課税

基礎控除・給与所得控除の見直し

  • 所得税の基礎控除が引き上げられます。
    対象:合計所得2,350万円以下の場合
    金額:現行の48万円から58万円へ
  • 所得税と個人住民税の給与所得控除が引き上げられます。
    対象:給与等の収入金額が190万円以下の場合
    金額:現行の55万円から65万円へ

大学生年代の子等に係る特別控除制度の創設

いわゆる「103万円の壁」への緩和措置と言えます。
「親の扶養から外れてしまうために働き控えをする」というような問題を受け、大学生世代の子を持つ家庭を対象として、特別控除制度が新設されます。
令和7年分からは、150万円までは扶養控除と同等の控除を受けることができるようになります。
それ以上の年収に対しても、控除額は段階的に縮小されますが、188万円までは控除を受けることができるようになるようです。

子育て世帯等への減税措置

大きく二つの措置があります。

  • 住宅ローン控除の拡充
    令和7年に居住した場合を対象に、借入限度額の上乗せと床面積要件の緩和を実施
  • 生命保険料控除の引き上げ
    新生命保険料にかかる一般生命保険料控除の控除額を、現行の4万円から最高6万円に引き上げ
    令和8年分の所得税に適用される1年間限定措置となるため注意

退職所得控除額の調整規定等の見直し

令和8年1月以降、退職手当等を受け取る際の退職所得控除の調整対象期間が、これまでの「過去4年以内の老齢一時金の受給」から「過去9年以内の受給」へと拡大されます。
これに伴い、「老齢一時金に係る申告書」の保存期間も現行の7年から10年に延長されます。

この改正は、令和8年1月1日以後に老齢一時金を受け取っている場合で、同日以後に支払われる退職手当等に適用されます。

企業型DCとiDeCoの拠出限度額等の引き上げ

確定拠出年金制度において、加入者の拠出限度額が引き上げられる見直しが行われた後も、現行の税制優遇措置がそのまま適用されます。

  • 【第2号被保険者】
    • 企業型DCの限度額:月額6.2万円(現行:5.5万円)
    • iDeCoの限度額:月額6.2万円(現行:2.0万円 or 2.3万円)
  • 【第1号被保険者】
    • iDeCoと国民年金基金の合算限度額:月額7.5万円(現行:6.8万円)

事業承継税制における役員就任要件の事実上の撤廃

法人・個人ともに、事業承継税制の特例制度における「贈与時の要件」が緩和されます。

これまで法人版では「役員に就任してから3年以上」が要件でしたが、今後は「贈与直前に役員等であればOK」となります。
個人版でも、贈与直前に事業に従事していればよくなります。
この見直しは、令和7年1月1日以降の贈与に適用されます。

法人課税

中小企業の法人税の軽減税率の見直し・延長

中小企業の法人税に関しては、年800万円以下の所得に適用される軽減税率の延長と、一部事業者に対する税率の引き上げが行われます。
要点をまとめると、以下の通りです。

  • 年800万円以下の所得に対する法人税率15%の軽減措置(本則19%)の適用期限が2年延長される(令和9年(2027年)3月31日までの間に開始する事業年度まで適用)
  • 所得が年10億円を超える事業年度について、法人税率が15%から17%に引き上げ
  • グループ通算制度を適用する法人(通算法人)は軽減税率の対象から除外

この見直しにより、多くの中小企業では従来どおり法人税の軽減措置を受けられますが、一定規模以上の企業にとっては負担が増える点に注意が必要です。

中小企業経営強化税制の見直し・延長

経営力強化を目的とした「中小企業経営強化税制」についても、適用期限の延長と対象設備の見直しが行われます。
見直された点をまとめると、以下の通りです。

  • 適用期限が2年延長(令和9年(2027年)3月31日まで適用)
  • 設備投資に関するA類型・B類型の要件の見直しと、C類型(デジタル化設備)の廃止が決定
  • 売上高100億円超を目指す中小企業向けに、B類型の税制優遇を拡大した「B類型拡張版」が新設

リース会計基準の変更に伴う税制上の措置

2024年に導入された新リース会計基準に対し、法人税法上は従来どおりの処理が維持されることになりました。

  • 借り手のリース費用は、従来どおり賃貸借処理のまま(税務上の変更なし)
  • 貸し手のリース収益に関する特例は、経過措置を経て廃止(所得税も同様)
  • 所有権移転外リースの減価償却では、残価保証額を控除せず1円まで償却可能に(令和9年4月1日以降の契約から適用)

税務と会計で処理が異なるため、申告時の調整が必要となります。

企業版ふるさと納税の見直し

寄附額の最大約9割まで税負担が軽減される「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」への寄附に対する特別税額控除制度が、令和10年3月31日まで3年間延長されました。
今後は、認定地方公共団体に対し、事業の適切な実施に関する確認書面の提出や、寄附を行った法人名の公表といった対応も求められることになります。

防衛特別法人税(仮称)の創設

2025年度(令和8年度)から、法人税額に対して新たに税率4%の付加税が課されることになりました。
ただし、課税対象となる法人税額から年500万円が控除される仕組みとなっており、中小企業には一定の配慮がなされています。
適用開始は令和8年4月1日以後に開始する事業年度からです。

投稿者・投稿者チーム紹介

石川
石川営業部
SEOやHP更新について日々勉強中の石川です。他人の誤字はすぐに見つけられるのに、自分で書いた文章の誤字はいつまでも見つけられないのが悔しくて、しばらくしていなかった趣味の読書を再開しました。いつか越尾のようなサイト強者になるのが今の目標です。
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