平成30年度の税制改正の要望案がでました。経済産業省の要望案では29年度末で期限切れとなる所得拡大促進税制について適用期限を延長し、中小企業を重点的に支援するなどの拡充を図られています。
あくまで要望ですので、全て採択されるわけではありませんが、国・政府がどのように考えているかを組んでいただければと思います。
所得拡大促進税制
賃上げと人材投資に取り組む企業に対する支援の強化が目的です。
生産性を向上させ、賃上げの実施に加え人材投資を増加させている企業に対する所得拡大促進税制の支援措置を強化されます。
また、中小企業については、生産性の低い業種に対して重点支援を行われます。
さらに、賃上げに取り組んでいる中小企業が本税制をより活用しやすくするため、所得拡大促進税制を活用するための要件を緩和されます。
税額控除を拡充
① 前年度から、研修など教育訓練費を一定割合増加させた企業については、雇用者給与等支給増加額の一定額を税額控除される。
② 中小企業に対しては、新たに外部から中核人材を採用した場合、給与等支給増加額の一定額を税額控除する。
(中核人材とは、事業上の様々な業務において中核を担う人材、または特殊な資格や専門性の高い就業経験を有する即戦力たる人材を言います。)
③ 中小企業に対しては、生産性が低い業種に分類される場合、給与等支給増加額の一定額を税額控除する。
制度の要件緩和(中小企業)
雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額を下回らないことの見直し。
→人が辞めてしまったなどで、前事業年度の雇用者給与等支給額を下回ってしまった場合に所得拡大促進税制は使えませんでしたが、使えるようにする。
これらによって、中小企業が生産性向上させ、賃上げしやすくし、人材投資を増加するのが目的の税制です。
事業承継
高齢化がすすんでいるものの、半数以上が事業承継の準備ができていない状況です。このままでは中小企業の廃業により地域経済に打撃を与える恐れがあります。そのため雇用要件、納税猶予制度、対象となる発行済議決権株式総数の上限、対象者を中心に事業承継税制の抜本的拡充を図られています。
売却やM&Aによる親族以外の経営者へ経営資源や事業の再編・統合を図る手法が増えています。そうした背景の中で、他企業や親族外経営者、ファンドなどに株式や事業を譲渡した場合の税負担の軽減措置の創設が求められています。
具体的には下記の通り要望が出されています。
・株式、事業の譲渡益にかかる税負担の軽減
・不動産の移転や地上権にかかる登録免許税の軽減
・不動産所有権移転に係る不動産取得税の軽減
・ファンド(一定要件を満たすことが条件)から出資を受けた場合は、企業関連の優遇税制の適用。
事業再編
自社株式等を対価とした株式取得による事業再編の円滑化措置を検討されています。買収される側の企業が株式を対価とした買収に応じると株式譲渡益や譲渡所得課税が生じてしまい、買収に応じられないというケースがありましたが、自社株式等を対価とした事業買収に応じた株主について株式譲渡益・譲渡所得課税への課税を繰り延べる措置を求めています。
グリーン投資減税廃止
環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)は平成29年度末で廃止し、
新たに先進的省エネ・再エネ投資促進税制の新設を要望しています。
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