法人を設立したら

法人、つまり会社を設立する時には、やらなければならないことがたくさんあります。
多くの書類を提出することもそのうちのひとつです。
しかし、中には必ずしも提出の必要がない場合もあります。

今回の記事では、
「書類の提出先」
「必ず提出しなくてはならないもの」
「場合によって提出の必要があるものや提出した方が後々有利に働くもの」
に焦点をあてて分類し、税務に関わるものを紹介していきます。

各書類のPDFが国税庁ホームページにありますので、そのリンクもご用意しました。
さらに詳しい説明がありますので、合わせてご覧ください。

 

税務署に提出する書類

まずは税務署に提出する書類に絞ってご紹介します。
書類は、会社の本店所在地の税務署に提出し、しっかりと保管しましょう。

 

必ず提出する書類

 

法人設立届出書

法人、つまり会社を設立しましたよ、ということを知らせる為の届出書です。

〈書類提出の際に一緒に提出するもの〉
定款の写し、登記事項証明書、設立趣意書、株主名簿の写し、設立時の貸借対照表

〈提出期限〉
法人の設立から2カ月以内

法人設立届出書(国税庁ホームページ)

 

 

 

場合により提出の必要がある書類・提出すると有利に働く書類

 

給与支払事務所等の開設届出書

社員や従業員に給与を支払い、所得税を集めて納めることをしますよ、という届出書です。

〈提出期限〉
事務所開設の日から1カ月以内

 

給与支払事務所等の開設届出書(国税庁ホームページ)

 

 

棚卸資産の評価方法届出書

棚卸をする際に、その資産を評価する方法を選定して届け出ます、という届出書です。

棚卸資産がない場合は提出しなくても良い届出書ですが、資産があるにも関わらず提出がない場合、いくつかある評価方法の中から、自動的に「最終仕入原価法」という方法で評価しなくてはならないので注意が必要です。
自社に最も良い評価方法を選べるようにしましょう。

〈提出期限〉
最初の確定申告の期限まで

棚卸資産の評価方法届出書(国税庁ホームページ)

 

 

減価償却資産償却方法の届出書

時間経過によって物品の価値が下がることを「減価」といい、これを経費として扱うことが出来ます。
その減価資産の計算方法を届け出ます、という届出書です。

減価償却資産がない場合は提出しなくても良い届出書ですが、提出が無く減価償却を行う場合、計算方法は自動的に「定率法」となりますので注意が必要です。
自社に会った計算方法で計算が出来るよう、慎重に検討しましょう。

〈提出期限〉
最初の確定申告の期限まで

減価償却資産償却方法の届出書(国税庁ホームページ)

 

 

青色申告承認申請書

法人税の申告時、青色申告をします、という申請書です。

複式簿記という方法で記帳をする必要がある等、少し手間はかかりますが、赤字を繰り越すことが出来たり、法人税額の特別控除が受けられたりと、税務上のメリットが非常に大きいものです。
青色申告の他に白色申告がありますが、青色申告より記帳も申告も容易である一方、特別控除等は受けられません。
また、この申請書を期限内に提出しなかった場合、自動的に白色申告となりますので注意が必要です。

〈提出期限〉
設立から3カ月以内(ただし、3カ月の間に事業年度が切り替わる場合は年度内)

青色申告承認申請書(国税庁ホームページ)

 

 

源泉所得税の納期の特例の申請書

必ず提出する「給与支払事務所の開設届出書」に伴った申請書です。

給与を支払う従業員数が10名未満の小さな事業所に限り、毎月納付の源泉所得税を半年毎(年2回)の納付に変更することが出来ます。
毎月納付だと、経理や事務の担当者にとって大きな負担になりますから、適用できる事業所においては適用を推奨しております。
ただし、従業員数が10名以上になり、該当しなくなった場合はその旨を届け出なければなりません。

〈提出期限〉
適用を受けようとする月の前月末まで

源泉所得税の納期の特例の申請書(国税庁ホームページ)

 

 

個人事業の開廃業届出書

必ず提出する「法人設立届出書」に伴う届出書です。

元々個人事業をしていて法人化した場合に、個人事業の廃業届を提出する必要があります。
忘れずに提出しましょう。

〈提出期限〉
廃業から1カ月以内

個人事業の開廃業届出書(国税庁ホームページ)

 

 

消費税に関する書類

ここで、消費税に関する書類について、簡単にご説明します。
少し複雑ですが、有利に働く場合もありますので、検討してみても良いのではないでしょうか。

 

消費税の納税義務が免除になる制度

新規に設立した法人の資本金又は出資の額が1,000万円以下の場合は、原則として消費税の納税義務が免除されます。(免税事業者)

ですので、1,000万円を超えている場合は、その旨の届出を行う必要があります。
「消費税の新設法人に該当する旨の届出手続き」という手続きです。
しかし、「法人設立届出書」に1,000万円以上だという旨を記載している場合はこの手続きは必要ありません。

 

消費税の新規法人に該当する旨の届出書(国税庁ホームページ)

 

 

 

消費税の還付

先ほどの免税事業者の対象とならず、消費税を納付する課税事業者の場合、
取引等によってお客様から預かった(支払ってもらった)消費税と支払った消費税とを比べて、
不足分を納税します。
しかし、支払い過ぎている時には、決算の際に払い過ぎた分を返してもらう、「還付」を行うことが出来ます。

また、事業によっては、設備投資をたくさんしなくてはいけない場合や仕入にかかる消費税額が多くなってしまう場合があります。
その場合は、免税事業者でも、課税事業者となることを選択することで消費税の還付を受けることが出来ます。
その際は、決算の前までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出しましょう。

〈提出期限〉
決算の前まで

消費税課税事業者選択届出書(国税庁ホームページ)

 

 

 

都道府県税事務所・市町村役場に提出する書類

続いては都道府県税事務所と市町村役場に提出する書類です。

「税務署」と「税事務所」ですが、同じなのではと混乱しますね。
税務署は国税を扱うところ、税事務所は地方税を都道府県ごとに扱うところ、という認識が分かりやすいと思います。

 

必ず提出する書類

 

法人設立届(届出書名は場所により異なる)

法人の事業所がある場所の管轄にあたる都道府県税事務所と市町村役場に、法人設立の届出を提出します。
各都道府県、各市町村によって書類の名前や様式が違うので、きちんと調べてから記入しましょう。

〈書類提出の際に一緒に提出するもの〉
定款の写し、登記事項証明書

〈提出期限〉
各都道府県、各市町村によって異なる
(都税事務所の場合は設立から15日以内、23区役所には提出の必要はない)

 

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

一口に「税務署に出す書類」と言っても、意外とたくさんの書類があり、提出の必要が無かったりと少しややこしい部分もあります。
特に資産の計算方法に関する書類は、調べても何が良いのか分からないことも多いと思います。

ですが、ひとつひとつの書類は難し過ぎるということはありません。ご自身の会社をどう運営していくのか、どうしたいのかをはっきりとさせておきましょう。

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今回書いた書類の他にも、労働基準監督署に提出するものや社会保険に関わるものなどもありますので、それらはまた別の記事でご説明していきます。
そちらも是非ご確認ください。

 

 

 

投稿者・投稿者チーム紹介

税理士法人YFPクレア
税理士法人YFPクレア
創立50周年を迎えた税理士事務所です。
新宿(四谷)、さいたま市(南浦和)、渋谷、横浜、千葉、神田、立川の7拠点で活動中。弊社はスタッフの特技や趣味や相性を活かしています。クリニック、歯科医院、調剤薬局、整骨院などの保険診療も含まれる業種、漫画家や作家、保育園、社会福祉法人など、幅広くサポート。
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